冬が来る前に鉄筋コンクリート造りに移り住みたい

なにゆえともなく文明を忘れたどこかの島の民のように寒風をよけるために鉄筋コンクリート造りの住処に移り住みたいと冬の寒さが日毎厳しく辛くなる間に思うに至った。冬が来る前に結婚しよう。それしかない。そんなことを思い結婚を決めた。いい加減と言ったらいい加減なのかもしれないが、とにかく結婚というものをしてみたいという新しい事への意気込みばかりで紹介された人とすんなり結婚してしまった。彼が住んでいた鉄筋コンクリート造りの10階建ての一室に移り住むことになった。鉄筋コンクリート造りでなければ親密な空気がないだの旦那と同じ部屋に眠っている人でなければ人生がないのとさんざん言われていたのだが、果たして言葉ほどではないにしろ幾つかの出来事は訪れた。隙間風が入らない密な感じというのが、鉄筋コンクリート造りの良いところだろうと思った。たぶん、高層マンションなどから勝ち目がないと言われているコンクリート造りだとある筈のものを無いと言われたりするのだろう。結局は離婚してかえって来たのだが、そんな鉄筋コンクリート造り体験は貴重と言ったら貴重な体験だった。もう移り住まない。